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2026.11.01

個人事業主の銀行口座おすすめランキング9選【2026年11月】屋号付き口座の対応と振込手数料で比較

個人事業主の銀行口座おすすめランキング|「事業用の口座を分けたい方へ!個人事業主の銀行口座おすすめランキング 屋号付き口座・振込手数料で比較」の文字と通帳・スマホ・コインのイラスト

開業したばかりで、事業用の口座をどこで作ればいいのか迷っていませんか。「屋号付き口座って必要なの?」「ネット銀行とメガバンク、どちらが事業に向いているの?」と悩む個人事業主の方は少なくありません。

個人事業主の銀行口座は、選び方ひとつで毎月の振込手数料や確定申告の手間が大きく変わります。たとえば取引先への支払いや外注費の振込が月20件ある場合、他行宛の手数料が1件100円の銀行と1件220円の銀行では、年間で約2万8,800円もの差が生まれます。屋号付き口座が作れるか、来店が必要か、会計ソフトと連携できるかも銀行ごとに違います。

そこでこの記事では、個人事業主におすすめの銀行口座9行を、屋号付き口座の対応・振込手数料・開設までの日数で比較したランキングをご紹介します。働き方別の口座の組み合わせ方や、屋号付き口座のメリット・デメリット、開設に必要な書類、インボイス制度・電子帳簿保存法に備えた口座の使い方まで、2026年11月時点の情報でわかりやすく解説します。

最後まで読めば、自分の事業規模や働き方にぴったりの口座が見つかり、お金の管理と確定申告をぐっとラクにできるはずです。

個人事業主が銀行口座を事業用に分けるべき理由

個人事業主になると、売上の入金・経費の支払い・税金や社会保険料の引き落としなど、お金の出入りが一気に増えます。これらをプライベートの口座で一緒に管理していると、どれが事業のお金なのか分からなくなり、帳簿づけや確定申告で苦労しがちです。

ここでは、そもそも個人口座を事業に使ってよいのか、口座を分けると何がラクになるのか、屋号付き口座とは何かを順に解説します。

個人口座を事業用に使うこと自体は問題ない

まず結論から言うと、個人事業主が自分名義の普通口座を事業用に使うこと自体は問題ありません。個人事業主は法人とは違い、事業もプライベートも同じ「個人」として扱われるため、法律上は事業専用の口座を持つ義務がないのです。

実際に、開業したばかりのフリーランスや副業の段階では、手持ちの個人口座で売上を受け取っている人も多くいます。ただし、銀行の規定では口座の利用目的を申告することになっているため、新しく口座を作るときは「事業用」と正しく申告しておきましょう。目的を偽って開設すると、後から利用制限がかかる可能性があります。

また、国税庁の白色申告者の記帳・帳簿等保存制度でも案内されているとおり、白色申告であっても事業の収入や経費は帳簿に記録し、保存する必要があります。個人口座を使い続ける場合も、事業の取引を後から区別できるようにしておくことが大切です。

口座を分けるとお金の流れと確定申告がぐっとラクになる

事業用の口座をひとつ作り、売上の入金と経費の支払いをそこに集めると、通帳や入出金明細がそのまま事業の帳簿の下書きになります。生活費の引き落としが混ざらないので、確定申告の時期に1年分の明細から事業の取引を拾い出す作業がほぼ不要になります。

たとえば、個人口座だけで管理していると、スーパーでの買い物や家賃の引き落としの中から、取引先からの入金や外注費の支払いを1件ずつ探さなければなりません。事業用口座を分けておけば、会計ソフトに明細を取り込むだけで、ほとんどの取引を自動で仕訳できます。

さらに、事業の手元資金がいくらあるのかが一目で分かるのも大きなメリットです。納税の時期に向けていくら残しておくべきか、新しい機材に投資できる余裕があるかなど、経営判断がしやすくなります。税務調査が入った場合にも、事業とプライベートのお金がはっきり分かれていれば、説明の手間を大きく減らせます。

屋号付き口座とは?通常の個人口座との違い

屋号付き口座とは、口座名義に屋号(お店や事務所の名前)と個人名を併記した口座のことです。たとえば「デザインオフィスABC 山田太郎」のような名義になります。屋号は、税務署に提出する開業届に記載した名前を使うのが一般的です。

通常の個人口座との大きな違いは、名義と開設時の審査です。屋号付き口座は事業用であることが前提のため、開業届の控えなど事業を営んでいることを確認できる書類の提出を求められます。一方で、口座の機能(入出金・振込・引き落とし)は個人口座とほとんど変わりません。

注意したいのは、個人事業主は法人ではないため屋号だけの名義では口座を作れない点です。PayPay銀行や楽天銀行など多くの銀行が、屋号のみでの開設はできないと案内しています。法人名義の口座が必要になるのは、法人を設立したあとです。

個人事業主におすすめの銀行口座ランキング9選|屋号付き口座の対応と手数料で比較

ここからは、個人事業主におすすめの銀行口座を9行ご紹介します。

順位 銀行 屋号付き口座 他行宛振込手数料 申込方法
1位 GMOあおぞらネット銀行
GMOあおぞらネット銀行
〇(屋号+個人名) 100円 Web(来店不要)
2位 PayPay銀行
PayPay銀行
〇(屋号+本名) 145円 Web(来店不要)
3位 楽天銀行
楽天銀行
〇(個人ビジネス口座) 150円/229円 Web(個人口座から追加)
4位 ドコモSMTBネット銀行
ドコモSMTBネット銀行
× ランクに応じ月1〜20回無料、超過分77円 Web(来店不要)
5位 三井住友銀行
三井住友銀行
〇(窓口で申込) 154円/220円(SMBCダイレクト) 窓口
6位 三菱UFJ銀行
三菱UFJ銀行
〇(窓口で申込) 154円/220円(三菱UFJダイレクト) 窓口
7位 みずほ銀行
みずほ銀行
〇(窓口で申込) 110円(みずほダイレクト) 窓口
8位 りそな銀行
りそな銀行
〇(窓口で申込) 所定の手数料 窓口
9位 ゆうちょ銀行
ゆうちょ銀行
〇(屋号を別名で登録) 165円(ゆうちょダイレクト) 郵便局・ゆうちょ銀行の窓口

※手数料はインターネットバンキング利用時・税込・2026年11月時点。「/」は3万円未満/3万円以上。屋号付き口座で利用できるネットバンキングと手数料体系は、銀行や契約内容により異なります。

ランキングは、次の3つの基準で総合的に評価しています。

1つ目は屋号付き口座への対応です。屋号で請求書を出す人にとって、屋号名義で入金を受けられるかは重要なポイントです。2つ目は振込手数料の安さです。外注費や仕入れの支払いが多い事業ほど、他行宛振込の1件あたりの手数料が年間コストに直結します。3つ目は開設のしやすさです。来店不要で申し込めるか、口座が使えるまでに何日かかるかを比較しました。

1位 GMOあおぞらネット銀行|屋号+個人名の口座を来店不要で作れて他行宛振込も低コスト

GMOあおぞらネット銀行

口座名義 「屋号+個人名」または「個人名+屋号」
申込方法 Web(来店不要)
利用開始まで 自撮り動画で本人確認:最短翌日
書類アップロード:最短4営業日程度
同行宛振込 無料
他行宛振込 1件100円(税込)
※2026年8月17日改定
提携ATM セブン銀行・イオン銀行・ゆうちょ銀行で入金・出金1回110円(税込)
デビットカード Visaビジネスデビットカード(年会費無料・通常1%キャッシュバック)
主な機能 つかいわけ口座、バーチャル口座、定額自動振込、Pay-easy
メリット
  • 屋号付きの個人事業主口座をスマホから来店不要で申し込める
  • 他行宛振込が1件100円(税込)と、今回比較した9行のなかで最安クラス
  • ビジネスデビットカードの利用額に対して通常1%がキャッシュバックされる
デメリット
  • 提携ATMの入出金は1回110円かかるため、現金を頻繁に扱う事業には不向き
  • 実店舗がないため、対面で融資や資金繰りの相談はできない

GMOあおぞらネット銀行は、個人事業主口座を「屋号+個人名」でも「個人名+屋号」でも作れ、申込から本人確認までWebで完結するネット銀行です。マイナンバーカードや運転免許証を使った自撮り動画での本人確認なら最短翌日から使え、書類をアップロードする場合でも最短4営業日程度で利用を始められます。すでに同行の個人口座を持っている人は、インターネットバンキングから個人事業主口座を追加で申し込めます。

最大の魅力は手数料の安さです。2026年8月17日の改定で、法人・個人事業主の他行宛振込手数料が1件130円から100円に引き下げられました。同行宛は無料です。外注先への支払いが月10件あっても月1,000円で済む計算です。目的ごとに預金を分けられる「つかいわけ口座」を使えば、納税用・設備投資用の資金を口座内で仕分けておくこともできます。経費の支払いには、年会費無料で通常1%のキャッシュバックがあるVisaビジネスデビットカードが便利です。デビットカードの選び方はデビットカードおすすめランキングでも詳しく比較しています。

2位 PayPay銀行|屋号付きの個人事業主口座が最短即日で開設できる

PayPay銀行

口座名義 「屋号+本名」(屋号なし・屋号のみは不可)
申込方法 Web(来店不要)
開設まで 最短即日
同行宛振込 無料
他行宛振込 1件145円(税込)
※新規開設者は他行宛振込5回無料の特典あり(2026年11月時点)
ATM 1回3万円以上の入出金は回数無制限で無料
デビットカード キャッシュカードにVisaデビット機能付き
注意点 2年以上利用のない個人事業主口座は未利用口座管理手数料の対象
メリット
  • 屋号付きの個人事業主口座を最短即日で開設できる
  • PayPay銀行宛の振込が無料で、取引先も同行なら手数料ゼロで支払える
  • 1回3万円以上ならATMの入出金手数料が回数無制限で無料
デメリット
  • 他行宛振込は1件145円で、GMOあおぞらネット銀行よりやや高い
  • 郵送物を受け取れないと口座が利用停止になる場合がある

PayPay銀行は、屋号付きの個人事業主口座を最短即日で開設できるスピードが強みです。申込はメールアドレスの登録、本人確認書類のアップロード、キャッシュカードの受け取りという3ステップで完了し、来店の必要はありません。口座名義は必ず「屋号+本名」になるため、開業届で屋号を決めている人に向いています。

2025年5月26日の改定で、PayPay銀行宛の振込は無料、他行宛は1件145円(税込)になりました。キャッシュカードにはVisaデビット機能が付いているので、事業用の経費支払いにもそのまま使えます。1回3万円以上の入出金ならATM手数料が回数無制限で無料になるため、売上金をまとめて引き出す人にも便利です。なお、2年以上使っていない個人事業主口座には未利用口座管理手数料がかかるため、作ったまま放置しないように注意しましょう。

3位 楽天銀行|個人ビジネス口座で屋号を追加でき個人口座と番号を分けて管理できる

楽天銀行

口座の種類 個人ビジネス口座(個人口座とは別の口座)
申込条件 楽天銀行の個人口座を保有していること(個人口座にログインして申込)
口座名義 屋号を使える(屋号のみは不可)
口座維持手数料 無料
同行宛振込 1件52円(税込)
他行宛振込 3万円未満150円/3万円以上229円(税込)
提携ATM 入金・出金1回220円または275円(税込)
カード キャッシュカード発行1,100円/ビジネスデビットカード(JCB)年会費1,100円(税込)
メリット
  • 個人口座とは別の口座番号で事業用口座を持てるので、生活費と事業資金を確実に分けられる
  • 一括振込が標準で使え、外注費や仕入れの支払いをまとめて処理できる
  • 楽天市場の出店者など、楽天グループのサービスと組み合わせやすい
デメリット
  • 先に楽天銀行の個人口座を作っておく必要がある
  • 同行宛振込にも52円かかり、他行宛も3万円以上は229円と割高

楽天銀行の個人ビジネス口座は、すでに持っている楽天銀行の個人口座から追加で申し込める事業専用口座です。個人口座とは口座番号が別になるため、売上の入金や経費の支払いを生活費と完全に分けて管理できます。屋号を口座名義に使う場合は、個人事業の開業届などの書類が必要です。

手数料は、口座維持手数料が無料、同行宛振込が52円、他行宛振込が3万円未満150円・3万円以上229円(いずれも税込・2026年11月時点)です。ネット銀行のなかでは振込手数料がやや高めですが、一括振込を標準で使え、楽天市場の出店者向けのサービスも用意されているのが特徴です。楽天市場での出店や楽天ペイの導入を考えている人は、売上の受け取り口座として検討する価値があります。キャッシュカードの発行には1,100円かかる点は覚えておきましょう。

4位 ドコモSMTBネット銀行|屋号は付けられないが目的別口座で事業資金を分けやすい

ドコモSMTBネット銀行

口座名義 個人名(個人向け口座では屋号を付けられない)
申込方法 Web・アプリ(来店不要)
同行宛振込 無料
他行宛振込 スマプロランクに応じて月1〜20回無料、超過分は1件77円(税込)
目的別口座 最大10個まで作成でき、名前や目標金額を設定可能
自動化 定額自動振込・定額自動入金
振替納税 国税の振替納税口座に指定可能
メリット
  • 無料回数を超えても他行宛振込が1件77円と、今回比較したなかで最も安い
  • 目的別口座で「納税用」「設備投資用」などの資金を名前を付けて分けられる
  • 定額自動入金で、他行に入った売上を自動で集められる
デメリット
  • 屋号付き口座を作れないため、屋号名義で入金を受けたい人には不向き
  • 無料回数はランク判定の条件を満たす必要がある

ドコモSMTBネット銀行は、2026年8月3日に住信SBIネット銀行から商号変更したネット銀行です。個人向け口座では屋号を付けられませんが、個人名義の口座でも手数料の安さと資金管理機能で事業に活用できます。とくに他行宛振込は、スマートプログラムのランクに応じて月1〜20回が無料になり、無料回数を超えても1件77円(税込)と低コストです。

便利なのが、代表口座のなかに最大10個まで作れる目的別口座です。「納税用」「消費税用」「機材購入用」など名前を付けて資金を取り分けておけるため、確定申告の時期に納税資金が足りないという事態を防げます。目的別口座には口座番号がなく、入出金は代表口座を経由する点だけ覚えておきましょう。屋号での請求書発行にこだわらないフリーランスや、副業の事業用口座として個人名義で十分な人に向いています。

5位 三井住友銀行|屋号付き口座で取引先からの信頼を得やすいメガバンク

三井住友銀行

口座名義 屋号付き口座に対応(屋号付きは窓口での申込)
申込方法 窓口(Web・アプリでの開設は屋号なしの個人口座)
同行宛振込 SMBCダイレクト:無料
他行宛振込 SMBCダイレクト:3万円未満154円/3万円以上220円(税込)
窓口・ATM振込 当行ATM・窓口から:220円/330円(税込)ほか
向いている人 取引先にメガバンクの口座を求められる人、対面で相談したい人
メリット
  • メガバンクの屋号付き口座は取引先からの信頼を得やすい
  • 全国に店舗とATMがあり、窓口で対面相談ができる
  • 個人向けネットバンキングなら当行宛振込は無料
デメリット
  • 屋号付き口座は窓口での申込が必要で、開設まで時間がかかる
  • 他行宛振込手数料はネット銀行より高め

三井住友銀行は、屋号付き口座を窓口で開設できるメガバンクです。大企業や官公庁との取引では、振込先としてメガバンクの口座を求められることもあり、屋号付きのメガバンク口座を持っていると取引先からの信頼を得やすくなります。なお、ホームページやアプリからの申込では屋号を付けられないため、屋号付き口座を作りたい場合は窓口で手続きします。

個人向けのSMBCダイレクトの手数料は、当行宛無料、他行宛は3万円未満154円・3万円以上220円(税込)です。ネット銀行と比べると振込コストは高めなので、支払いが多い人はネット銀行の口座と使い分けるのがおすすめです。屋号付き口座で利用できるネットバンキングと手数料は、開設時に窓口で確認しておきましょう。

6位 三菱UFJ銀行|全国の店舗網で将来の融資相談にもつなげやすい

三菱UFJ銀行

口座名義 屋号付き口座に対応(窓口で相談)
申込方法 窓口
同行宛振込 三菱UFJダイレクト:無料
他行宛振込 三菱UFJダイレクト:3万円未満154円/3万円以上220円(税込)
法人向けネットバンキング BizSTATION:他行宛484円/660円(税込)
向いている人 将来の融資や法人化も見すえて大手銀行と取引実績を作りたい人
メリット
  • 国内最大級の店舗網で、地方でも窓口を利用しやすい
  • 取引実績を積めば、将来の事業融資や法人口座の相談につなげやすい
  • スーパー普通預金(メインバンク プラス)なら取引内容に応じて振込手数料が無料になる場合がある
デメリット
  • 屋号付き口座の開設は窓口での手続きが必要
  • 法人向けネットバンキングを使うと振込手数料が大きく上がる

三菱UFJ銀行は、全国に広がる店舗網と、取引実績を融資相談につなげやすい点が魅力のメガバンクです。売上入金や納税の引き落としを長く続けると、銀行側が事業の実態を把握しやすくなり、将来の事業融資や法人化の際に口座を開くときの相談がスムーズになります。

個人向けの三菱UFJダイレクトは、当行宛無料、他行宛は3万円未満154円・3万円以上220円(税込)です。一方、法人向けのBizSTATIONを使う場合は他行宛484円・660円と高額になるため、屋号付き口座でどのサービスを使うのかは事前に確認が必要です。日々の支払いはネット銀行、信用づくりはメガバンク、という組み合わせで持つと無駄がありません。

7位 みずほ銀行|窓口で屋号付き口座を相談でき資金繰りの相談先にもなる

みずほ銀行

口座名義 屋号付き口座に対応(窓口で相談)
申込方法 窓口(Webの法人口座申込は個人事業主は対象外)
同行宛振込 みずほダイレクト:無料
他行宛振込 みずほダイレクト:110円(税込)
※2025年1月14日改定
窓口・ATM振込 2025年1月に値上げ(ネットバンキングの利用がお得)
向いている人 窓口で資金繰りの相談をしながら口座を作りたい人
メリット
  • 個人向けのみずほダイレクトなら他行宛振込が110円と、メガバンクのなかでは安い
  • 窓口で屋号付き口座の開設や資金繰りを相談できる
  • メガバンクの口座として取引先からの信頼を得やすい
デメリット
  • 個人事業主はWebでの事業者向け口座申込を使えず、来店が必要
  • 窓口やATMからの振込は手数料が高い

みずほ銀行は、窓口で屋号付き口座の開設を相談でき、そのまま資金繰りの相談先にもなるメガバンクです。事業者向けのWeb口座開設は法人が対象で、個人事業主は対象外のため、店舗で手続きを進めることになります。開業届の控えや事業内容がわかる資料を持参し、事前に必要書類を確認しておくとスムーズです。

注目したいのは、2025年1月14日から個人向けのみずほダイレクトの他行宛振込手数料が110円(税込)に引き下げられた点です。一方で窓口やATMからの現金振込は値上げされたため、日常の振込はネットバンキングに集約しましょう。メガバンクの安心感と、比較的安い振込手数料を両立したい人に向いています。

8位 りそな銀行|りそなグループアプリfor ビジネスでスマホから残高と振込を管理できる

りそな銀行

口座名義 屋号付き口座に対応(窓口で相談)
申込方法 窓口
アプリ りそなグループアプリfor ビジネス(ダウンロード無料・会社経営者・自営業・個人事業主向け)
アプリでできること 残高・入出金明細のグラフ表示、振込(月10回まで)、Pay-easy・PayBでの税金・公共料金の支払い
振込手数料 所定の手数料(取引内容による)
セキュリティ 1口座1端末、出金時はセキュリティパスワードが必要
メリット
  • 事業者向けアプリで残高や入出金をグラフで確認でき、資金の流れをつかみやすい
  • 銀行の営業時間外でもアプリから振込ができる
  • 税金や公共料金をPay-easy・PayBでアプリから支払える
デメリット
  • アプリからの振込は月10回までに限られる
  • 店舗が首都圏・関西圏に集中しており、地域によっては利用しにくい

りそな銀行は、会社経営者・自営業・個人事業主向けの「りそなグループアプリfor ビジネス」が使いやすい銀行です。アプリでは残高や入出金明細をグラフで確認でき、期間ごとの収支もひと目で分かります。銀行の営業時間外でも振込ができ、税金や公共料金もPay-easy・PayBのマークがあれば、アプリから支払えます。

アプリからの振込は月10回までなので、支払い件数が多い事業者はネットバンキングとの併用を考えましょう。1口座につき1端末という制限があり、出金時にはセキュリティパスワードが必要など、安全面にも配慮されています。店舗型銀行の安心感を持ちながらスマホで日々の管理を済ませたい個人事業主におすすめです。

9位 ゆうちょ銀行|屋号を別名で登録でき全国の郵便局で入出金できる

ゆうちょ銀行

口座名義 屋号を「別名」として登録でき、名義に併記
申込方法 郵便局の貯金窓口・ゆうちょ銀行の店舗
口座数 事業用の個人口座は1人1口座まで
ゆうちょ銀行宛送金 ゆうちょダイレクト・通帳アプリ:月5回まで無料、6回目以降1回100円
他行宛振込 ゆうちょダイレクト:165円
事業者向けネットバンキング ゆうちょBizダイレクト(スタンダードプラン:契約料5,500円・月額550円)
メリット
  • 全国の郵便局とゆうちょATMで入出金でき、地方でも使いやすい
  • ゆうちょ銀行同士の送金はネットなら月5回まで無料
  • ゆうちょ口座を持つ取引先や顧客が多く、入金を受けやすい
デメリット
  • 開設には窓口での手続きと審査が必要で、必要書類が多い
  • 他行宛振込は165円で、ネット銀行より割高

ゆうちょ銀行は、屋号を「別名」として登録でき、全国の郵便局で入出金できるのが強みです。都市部以外で事業をしている人や、現金での売上が多い店舗型の事業者にとって、近くに郵便局があることは大きな安心材料になります。ゆうちょ口座を持っている顧客や取引先が多いため、入金先として案内しやすいのもメリットです。

一方で、事業用の口座は1人1口座までで、開設には審査があります。開業届の控えや屋号で事業を営んでいることがわかる書類、収支がわかる書類などを求められるため、開業直後の人は事前に窓口へ相談しておくと安心です。振込が多い場合は、ゆうちょダイレクトを使えば窓口よりも手数料を抑えられます。

個人事業主向け銀行口座9行の比較表|屋号・振込手数料・開設までの日数

9行の主なスペックを一覧にまとめました。手数料はインターネットバンキング利用時の金額(税込・2026年11月時点)です。

銀行 屋号付き口座 同行宛振込 他行宛振込 開設までの目安 来店
GMOあおぞらネット銀行 〇 無料 100円 最短翌日〜4営業日程度 不要
PayPay銀行 〇 無料 145円 最短即日 不要
楽天銀行 〇 52円 150円/229円 審査により異なる 不要
ドコモSMTBネット銀行 × 無料 月1〜20回無料、超過77円 審査により異なる 不要
三井住友銀行 〇 無料 154円/220円 審査により異なる 必要
三菱UFJ銀行 〇 無料 154円/220円 審査により異なる 必要
みずほ銀行 〇 無料 110円 審査により異なる 必要
りそな銀行 〇 所定 所定 審査により異なる 必要
ゆうちょ銀行 〇(別名) 月5回無料、以降100円 165円 審査により異なる 必要

※「/」は3万円未満/3万円以上。メガバンク・りそな銀行の手数料は個人向けネットバンキングの金額で、屋号付き口座で利用できるサービスは契約内容により異なります。

一覧で見ると、振込手数料と開設スピードではネット銀行が有利、信用力と対面相談では店舗型の銀行が有利という傾向がはっきり分かります。どちらか一方に決めるのではなく、日々の支払い用にネット銀行、信用づくりや融資相談用に店舗型の銀行、という2口座体制にするのもおすすめです。

働き方別に見る個人事業主の口座の組み合わせ

個人事業主といっても、Webで仕事を受けるフリーランス、店舗を構える事業者、ネットショップの運営者、会社員の副業など働き方はさまざまです。最適な口座は、売上の受け取り方や支払いの件数、将来の資金調達の予定によって変わります。

ここでは、働き方別におすすめの口座の組み合わせをご紹介します。

働き方 おすすめの口座 選ぶ理由
手数料を抑えたいフリーランス GMOあおぞらネット銀行
GMOあおぞらネット銀行
屋号付き口座をWebで作れて他行宛振込が100円
将来融資を受けたい人 地方銀行・信用金庫 地域密着で融資相談につなげやすい
ネットショップの運営者 楽天銀行
楽天銀行
楽天市場の出店者向けサービスと一括振込が使える
副業で事業用口座を作りたい人 PayPay銀行
PayPay銀行
最短即日で開設でき同行宛振込が無料

手数料を抑えたいフリーランスはネット銀行をメインにする

GMOあおぞらネット銀行

デザイナーやエンジニア、ライターなど、パソコンひとつで仕事をするフリーランスは、振込手数料が安く来店不要のネット銀行をメイン口座にするのが効率的です。なかでもGMOあおぞらネット銀行は、屋号付きの口座をWebで作れて、外注先への支払いも1件100円で済みます。

おすすめの理由 屋号付き口座をWebで開設でき、他行宛振込が1件100円(税込)
他行宛振込を月10件した場合 月1,000円(年1万2,000円)
経費の支払い Visaビジネスデビットカードで通常1%キャッシュバック
資金管理 つかいわけ口座で納税資金を取り分け
相性のよい人 請求書を屋号で発行し、外注や経費の支払いが多いフリーランス
メリット
  • メガバンクの個人向けネットバンキング(他行宛220円・3万円以上)と比べ、1件あたり最大120円安い
  • 取引先への請求から経費の支払いまで、スマホとパソコンで完結できる
  • デビットカードのキャッシュバックで経費の負担を少し軽くできる
デメリット
  • 現金の入出金にはATM手数料がかかる
  • 対面での融資相談には向かない

たとえば、毎月3万円以上の外注費を10件振り込む場合、メガバンクの個人向けネットバンキングなら月2,200円かかりますが、GMOあおぞらネット銀行なら月1,000円です。年間にすると1万4,400円の差になり、事業が大きくなるほど効果は大きくなります。

売上の入金が取引先の都合でメガバンクに指定される場合は、メガバンクの口座で受け取り、定期的にネット銀行へまとめて資金を移す方法もあります。メインの支払い口座をネット銀行に一本化すれば、会計ソフトでの管理もシンプルになります。

将来融資を受けたいなら地方銀行・信用金庫の事業用口座も持っておく

店舗の改装や設備投資など、将来まとまった資金を借りる予定がある人は、地元の地方銀行や信用金庫にも事業用口座を作っておくのがおすすめです。地域密着の金融機関は、規模の小さな個人事業主の相談にも乗ってくれやすく、売上の入金や納税の実績を積み重ねることで、融資の際に事業の実態を理解してもらいやすくなります。

また、創業期の資金調達先としては、政府系金融機関の日本政策金融公庫も代表的な選択肢です。日本政策金融公庫の創業支援では、これから事業を始める人や開業間もない人向けの融資制度が案内されています。融資の審査では、口座の入出金履歴が事業の実績を示す資料になるため、事業用口座でお金の流れを整理しておくことが大切です。

日々の支払いはネット銀行、融資の相談先として地方銀行・信用金庫、という形で役割を分けると、手数料を抑えながら資金調達の選択肢も確保できます。

ネットショップの売上を受け取るなら販売モールと相性のよい銀行を選ぶ

楽天銀行

ネットショップを運営している人は、出店している販売モールや決済サービスと相性のよい銀行を選ぶと、売上の受け取りがスムーズになります。楽天市場に出店している、または出店を考えているなら、楽天銀行の個人ビジネス口座が候補になります。

おすすめの理由 楽天市場の出店者向けサービスが用意され、一括振込も標準で使える
口座の種類 個人ビジネス口座(個人口座から追加で申込)
他行宛振込 3万円未満150円/3万円以上229円(税込)
一括振込 1回最大30件まで(件数分の手数料)
相性のよい人 楽天市場・楽天ペイなど楽天グループのサービスで売上を受け取る人
メリット
  • 楽天グループのサービスと組み合わせて売上管理をしやすい
  • 仕入れ先への支払いを一括振込でまとめて処理できる
  • 個人口座と口座番号が分かれ、ショップのお金を独立して管理できる
デメリット
  • 楽天以外の販売モールが中心なら、メリットは小さい
  • 振込手数料はネット銀行のなかでは高め

楽天銀行には楽天市場の出店店舗向けの案内ページがあり、ショップ運営と口座管理を組み合わせやすいのが特徴です。仕入れ先が複数ある場合は、一括振込で支払いをまとめて処理できるため、作業時間の短縮にもつながります。

Amazonや自社ECなど複数の販路がある場合は、売上の入金口座をひとつにまとめておくと、月ごとの売上を把握しやすくなります。モールごとに入金サイクルや入金手数料の条件が違うため、出店前に各サービスの規約で確認しておきましょう。

副業の事業用口座はおすすめのネット銀行で小さく始める

PayPay銀行

会社員の副業として開業届を出した人は、口座維持手数料がかからず、すぐに作れるネット銀行で小さく始めるのがおすすめです。PayPay銀行なら屋号付きの個人事業主口座を最短即日で作れ、給与口座とは別に副業のお金を管理できます。

おすすめの理由 屋号付きの個人事業主口座を最短即日で開設できる
同行宛振込 無料
他行宛振込 1件145円(税込)
ATM 1回3万円以上の入出金は回数無制限で無料
相性のよい人 給与口座と副業の売上を分けて、確定申告をラクにしたい会社員
メリット
  • 開業届を出したらすぐに副業専用の口座を用意できる
  • 副業の売上と経費だけが記録されるので、確定申告の集計が簡単
  • Visaデビット機能付きのキャッシュカードで経費の支払いも分けられる
デメリット
  • 2年以上使わないと未利用口座管理手数料がかかる
  • 屋号を決めていない場合は個人事業主口座を作れない

副業の場合、売上が給与口座に混ざると、確定申告のときに副業の収入だけを集計するのが大変です。副業専用の口座を作っておけば、その口座の入出金がそのまま副業の収支になります。年間の所得が一定額を超えて確定申告が必要になったときも、慌てずに準備できます。

副業が軌道に乗って取引先が増えたら、振込手数料がより安い銀行や、融資の相談ができる店舗型の銀行の口座を追加していくとよいでしょう。最初から複数の口座を作る必要はなく、事業の成長に合わせて口座を増やすのが現実的です。

個人事業主が銀行口座を選ぶときの6つのポイント

ランキングを参考にしながらも、最終的には自分の事業に合うかどうかで選ぶことが大切です。ここでは、口座選びで必ずチェックしたい6つのポイントを解説します。

屋号付き口座を開設できるか

屋号で請求書を発行している人や、店舗名で振込を受けたい人は、屋号付き口座に対応しているかを最初に確認しましょう。今回比較した9行のうち、ドコモSMTBネット銀行以外は屋号付きの口座に対応しています。

ただし、対応方法は銀行によって違います。GMOあおぞらネット銀行やPayPay銀行はWebで申し込めますが、メガバンクやりそな銀行は窓口での手続きが必要です。楽天銀行は個人口座を持っていることが前提で、ゆうちょ銀行は屋号を「別名」として登録する形です。自分が使いやすい申込方法かどうかもあわせてチェックしましょう。

他行宛振込手数料と無料回数

外注費や仕入れ代金の支払いが多い事業者にとって、他行宛振込手数料は毎月確実にかかる固定費です。1件あたりの差は数十円でも、件数が増えると年間で大きな差になります。

他行宛振込手数料 月10件の場合 年間(120件)
77円 770円 9,240円
100円 1,000円 12,000円
145円 1,450円 17,400円
220円 2,200円 26,400円

あわせて確認したいのが無料回数です。ドコモSMTBネット銀行のように条件に応じて月に一定回数まで無料になる銀行もあれば、新規開設者だけに無料回数の特典を用意している銀行もあります。自分の月の振込件数と、無料回数の条件を照らし合わせて実質コストで比較しましょう。

開設までの日数と来店の要否

開業してすぐに取引先から入金がある場合は、口座が使えるまでの日数も重要です。PayPay銀行は最短即日、GMOあおぞらネット銀行は最短翌日(自撮り動画での本人確認の場合)と、ネット銀行は開設が早い傾向があります。

一方で、メガバンクやゆうちょ銀行の屋号付き口座は窓口での手続きと審査が必要で、利用開始までに時間がかかることがあります。請求書の振込先を早く確定させたい人は、まずネット銀行で口座を作り、あとから店舗型の銀行の口座を追加する順番がおすすめです。

会計ソフトと明細を自動連携できるか

会計ソフトを使っている、またはこれから使う予定なら、口座の入出金明細を自動で取り込めるかを確認しましょう。明細を自動連携できれば、取引を1件ずつ手入力する必要がなくなり、仕訳のミスも減らせます。

今回紹介した銀行は、いずれも主要な会計ソフトで明細の連携先として扱われていることが多いですが、連携方式(API連携か、明細ファイルの取り込みか)や対応状況はソフトによって異なります。利用中の会計ソフトの公式サイトで、対応金融機関の一覧を事前にチェックしておくと安心です。

税金や社会保険料の振替納税に使えるか

個人事業主は、所得税や消費税、国民健康保険料、国民年金保険料などの支払いが発生します。事業用口座から自動で引き落とせるようにしておくと、納付忘れを防げます。

国税の口座引き落としには、確定申告の納税額を指定口座から振り替える振替納税や、e-Taxで手続きする国税庁のダイレクト納付があります。振替納税は納税者本人名義の口座が対象で、利用できる金融機関や屋号付き口座の扱いは銀行によって異なるため、事前に確認しておきましょう。クレジットカードでの納付を考えている人は、税金の支払いにおすすめのクレジットカードもあわせて参考にしてください。

融資や事業サポートを受けられるか

将来、事業資金を借りる可能性があるなら、融資の相談ができる銀行で取引実績を作っておくことが大切です。メガバンクや地方銀行、信用金庫は、口座の取引履歴を通じて事業の状況を把握しやすく、融資の相談先になります。

ネット銀行のなかにも事業者向けの融資サービスを提供しているところがありますが、対面での相談はできません。急な資金需要に備えるなら、ビジネスローンのおすすめランキングも参考に、銀行融資だけでなく売掛金を早期に資金化する方法も知っておくと安心です。詳しくは個人事業主が使えるファクタリングの比較で解説しています。

個人事業主が屋号付き口座を作るメリット

屋号付き口座は必須ではありませんが、作っておくと事業運営がスムーズになる場面が多くあります。ここでは、屋号付き口座の主なメリットを3つご紹介します。

取引先に事業者として信頼されやすい

請求書の振込先が個人名だけの口座だと、取引先によっては「個人に振り込んでよいのか」と確認されることがあります。屋号付き口座なら、事業として取引していることが名義から伝わるため、取引先の経理担当者も安心して振込処理ができます。

屋号付き口座は開設時に銀行の審査を経ているため、事業の実態があることの裏付けにもなります。とくに企業との取引が多いBtoBの事業では、屋号付き口座を持っていることが信頼につながりやすいでしょう。

屋号あての振込をそのまま受け取れる

取引先が屋号あてに振込をした場合、個人名だけの口座では名義が一致せず、振込が返却されたり、確認の手間が発生したりすることがあります。屋号付き口座なら、屋号でも個人名でも振込を受け取りやすくなります。

また、通帳や入出金明細に屋号が記載されるため、事業用の口座であることが一目で分かります。開業届に記載した屋号と口座名義をそろえておけば、請求書・領収書・口座名義が一貫し、取引先とのやりとりもスムーズです。

事業とプライベートのお金をはっきり分けられる

屋号付き口座は事業用であることが明確なので、生活費を間違って引き出したり、私的な支払いに使ったりすることを防ぎやすくなります。口座名義を見るだけで用途が分かるため、家族と口座を共有している場合にも区別しやすいのがメリットです。

帳簿づけの面でも、事業用口座の入出金をそのまま会計ソフトに取り込めば、事業の取引だけを効率よく記録できます。確定申告の際に事業用とプライベートの支出を仕分ける作業が大幅に減ります。

屋号付き口座のデメリット|開設の手間と審査に時間がかかる

メリットの多い屋号付き口座ですが、開設には通常の個人口座より手間がかかります。申し込む前に知っておきたいデメリットを3つ解説します。

開業届の控えなど提出書類が増える

屋号付き口座を作るには、本人確認書類に加えて、開業届の控えなど事業を営んでいることを確認できる書類が必要になります。銀行によっては、確定申告書の控えや事業内容がわかるホームページ・パンフレット、許認可が必要な事業なら許認可証なども求められます。

開業届は、国税庁の個人事業の開業届出・廃業届出等手続のページから様式を入手でき、e-Taxでも提出できます。口座開設の予定がある人は、提出後の控えを必ず保管しておきましょう。

審査に時間がかかり断られることもある

屋号付き口座は、口座の不正利用を防ぐために事業の実態を確認する審査が行われます。開業したばかりで実績が少ない場合や、事業内容が分かりにくい場合は、追加の書類を求められたり、開設を断られたりすることもあります。

審査をスムーズに進めるには、事業内容が分かるWebサイトやポートフォリオ、取引先との契約書などを用意しておくのが効果的です。万が一断られても、別の銀行で開設できることは多いので、まずはネット銀行で個人事業主口座を作り、実績を積んでから店舗型の銀行に申し込む方法もあります。

店舗型の銀行は事業所に近い支店でしか作れない場合がある

メガバンクや地方銀行で屋号付き口座を作る場合、自宅や事業所の近くにある支店でしか申し込めないことがあります。口座の不正利用を防ぐため、遠方の支店での開設は理由を確認されるのが一般的です。

また、窓口の営業時間は平日の日中に限られるため、本業の合間に来店する時間を確保する必要があります。来店前に必要書類や予約の要否を銀行の公式サイトや電話で確認しておくと、何度も足を運ぶ手間を省けます。

個人事業主の口座開設に必要な書類と手順

屋号付き口座をスムーズに開設するために、事前に必要書類をそろえ、申込の流れを把握しておきましょう。

屋号付き口座の開設に必要な書類

屋号付き口座の開設で一般的に求められる書類は次のとおりです。銀行によって必要な書類は異なるため、申込前に必ず公式サイトで確認しましょう。

書類の種類 具体例 ポイント
本人確認書類 運転免許証、マイナンバーカードなど ネット銀行は自撮り動画やカード読取で確認できる
事業を営んでいることの確認書類 開業届の控え、確定申告書の控えなど 屋号付き口座ではほぼ必須
屋号を使っていることの確認書類 屋号が記載された公共料金・税金の領収書など ゆうちょ銀行などで求められる
事業内容の資料 ホームページの画面、パンフレット、契約書など 審査をスムーズにする補足資料
許認可証 飲食店営業許可証など 許認可が必要な事業の場合
印鑑 届出印 店舗型の銀行で必要

ネット銀行では書類をスマホで撮影してアップロードするのが一般的で、店舗型の銀行では原本を窓口に持参します。開業届の控えは、どの銀行でも求められる可能性が高いため、紙で提出した場合は受付印のある控え、e-Taxで提出した場合は受信通知をすぐに出せるようにしておきましょう。

開業届の屋号と申込内容をそろえておく

屋号付き口座の審査では、開業届に記載した屋号と、申込時に入力する屋号が一致しているかが確認されます。漢字・カタカナ・英字の表記や、スペースの有無が違うだけでも、確認のやりとりが発生することがあります。

国税庁の新たに事業を始めたときの届出などでも案内されているとおり、事業を始めたら開業届を提出し、青色申告を選ぶ場合は青色申告承認申請書もあわせて提出します。口座の申込では、開業届と同じ屋号・住所・事業内容を記入するようにしましょう。なお、銀行の口座名義はカナ表記になることが多く、長い屋号は途中で切れる場合もあります。

申込から口座開設までの流れ

屋号付き口座の一般的な申込の流れは次のとおりです。

  1. 税務署に開業届を提出し、控えを保管する
  2. 開設する銀行を決め、公式サイトで必要書類を確認する
  3. ネット銀行はWebで申込・書類アップロード、店舗型の銀行は窓口で申込
  4. 銀行による審査(追加書類や電話確認を求められる場合あり)
  5. キャッシュカードや初期設定の案内を受け取り、利用開始

ネット銀行の場合は、申込から利用開始まで最短即日〜数営業日程度が目安です。店舗型の銀行は審査に時間がかかることがあるため、取引先への請求書を発行する前に余裕をもって申し込むのがおすすめです。口座ができたら、インターネットバンキングの初期設定と会計ソフトとの連携をあわせて済ませておきましょう。

インボイス制度・電子帳簿保存法に備える事業用口座の使い方

インボイス制度や電子帳簿保存法への対応は、個人事業主にとっても避けて通れない課題です。事業用口座の使い方を工夫すれば、経理の手間を大きく減らせます。

入出金明細を電子データで保存できる口座を選ぶ

電子帳簿保存法では、取引の記録を電子データで受け取った場合、そのデータを一定の要件に沿って保存することが求められます。詳しくは国税庁の電子帳簿保存法関係のページで確認できます。

ネット銀行では紙の通帳がない代わりに、入出金明細をWeb上で確認・ダウンロードできるのが一般的です。ただし、明細の照会期間には上限がある場合が多いため、定期的にダウンロードして保存するか、会計ソフトに取り込んでおくことが大切です。楽天銀行のように取引履歴明細証明書をPDFで無料発行できる銀行もあります。

会計ソフトとの自動連携で仕訳と保存の手間を減らす

インボイス制度では、仕入税額控除を受けるために適格請求書(インボイス)の保存が必要になります。制度の概要は国税庁の適格請求書等保存方式(インボイス制度)で確認できます。

事業用口座と会計ソフトを連携しておけば、入出金の明細が自動で取り込まれ、振込や引き落としの記録と請求書・領収書を照らし合わせて管理しやすくなります。口座の明細、インボイス、会計帳簿をひとつのソフトでつなげることで、確定申告や消費税申告の準備時間を大幅に短縮できます。

事業用カードの引き落としと経費の支払いを事業用口座に集める

経費の支払いをクレジットカードで行う場合は、事業用カードの引き落とし口座を事業用口座に設定しましょう。カードの利用明細と口座の引き落としがすべて事業の取引になるため、経費の把握がぐっとラクになります。

プライベートのカードで経費を払うと、明細から事業の支出だけを抜き出す手間がかかります。年会費やポイント還元率、会計ソフトとの連携のしやすさで事業用カードを選びたい人は、個人事業主におすすめのクレジットカードも参考にしてください。

個人事業主の銀行口座に関するよくある質問

最後に、個人事業主の銀行口座についてよく寄せられる質問にお答えします。

屋号だけの名義で口座は作れる?

個人事業主は、屋号だけの名義で口座を作ることはできません。屋号付き口座は「屋号+個人名」の形が基本で、PayPay銀行や楽天銀行も屋号のみでの開設はできないと案内しています。

屋号だけの名義(法人名義)の口座が必要な場合は、法人を設立して法人口座を開設する必要があります。取引先から「屋号だけの口座にしてほしい」と言われた場合は、個人事業主であることを伝え、屋号付き口座で問題ないか相談しましょう。

開業届を出す前でも事業用口座は作れる?

屋号付き口座は、開業届の控えを求められることが多いため、開業届を出す前に作るのは難しいのが一般的です。一方、屋号を付けない個人名義の口座であれば、開業届がなくても作れます。

開業前から事業の準備でお金を使う場合は、まず個人名義の口座を事業用として使い始め、開業届を提出したあとに屋号付き口座を追加する方法もあります。開業届は事業開始から1か月以内の提出が原則なので、早めに提出しておくと口座開設もスムーズです。

個人事業主の通帳はネット銀行でも問題ない?

ネット銀行の口座を事業用にしても問題ありません。紙の通帳がなくても、Web上の入出金明細や取引履歴をダウンロードして保存しておけば、帳簿づけや確定申告に使えます。

注意したいのは、明細の照会期間に上限がある点です。過去の明細が見られなくなる前に、定期的にダウンロードするか会計ソフトに取り込んでおきましょう。融資の審査などで通帳のコピーを求められた場合も、取引履歴の証明書を発行して対応できることが多いです。

営業性個人とはどういう意味?

営業性個人とは、個人のうち事業を営んでいる人、つまり個人事業主のことを指す銀行用語です。銀行の申込書や手数料表で「営業性個人」「個人事業者」と書かれている場合は、個人事業主が対象と考えてよいでしょう。

銀行によっては、営業性個人の口座には個人向けとは別の手数料や規定が適用されることがあります。屋号付き口座を作る際は、自分の口座がどの区分になり、どの手数料体系が適用されるかを確認しておくと安心です。

事業用口座は何行まで持ってもよい?

事業用口座の数に法律上の上限はなく、複数の銀行で口座を持つこと自体は問題ありません。ただし、ゆうちょ銀行のように事業用の個人口座を1人1口座までとしている銀行もあります。

口座を増やしすぎると、残高の管理や会計ソフトとの連携、ログイン情報の管理が煩雑になります。日々の支払い用、売上の受け取り用、融資の相談用など、役割を決めて2〜3口座に絞るのが管理しやすいでしょう。使わなくなった口座は、未利用口座管理手数料がかかる前に解約を検討しましょう。

法人化したら個人事業主の口座はどうなる?

法人を設立すると、法人は個人とは別の人格になるため、法人名義の口座を新しく開設する必要があります。個人事業主の屋号付き口座を、そのまま法人口座に切り替えることはできません。

法人口座を開設したら、取引先に振込先の変更を案内し、個人事業主時代の口座に入金が残らないようにしましょう。個人事業の廃業届を提出したあと、屋号付き口座は解約するか、個人の口座として使い続けるかを銀行と相談します。個人事業主時代に取引実績を作った銀行で法人口座を申し込むと、相談がスムーズに進むこともあります。法人口座の選び方は法人口座におすすめのネット銀行ランキングで比較しています。

まとめ|屋号付き口座と手数料で自分の事業に合う銀行を選ぼう

個人事業主の銀行口座は、屋号付き口座に対応しているか、振込手数料が安いか、開設しやすいかの3つで選ぶのが基本です。

手数料を抑えて屋号付き口座をWebで作りたいならGMOあおぞらネット銀行、とにかく早く口座を用意したいならPayPay銀行、楽天グループのサービスと組み合わせたいなら楽天銀行がおすすめです。屋号にこだわらず個人名義で手数料を抑えたいならドコモSMTBネット銀行、取引先からの信頼や将来の融資相談を重視するならメガバンクやりそな銀行、ゆうちょ銀行といった店舗型の銀行が向いています。

最初から完璧な口座を選ぶ必要はありません。まずはネット銀行で事業用口座を作ってお金の流れを分け、事業の成長に合わせて店舗型の銀行の口座を追加するのが現実的です。自分の働き方に合う口座を選んで、日々のお金の管理と確定申告をぐっとラクにしていきましょう。