
1.定期購入商法とは何か
近年のEC市場では、化粧品・健康食品・サプリメントなどを中心に「初回○円」「お試し価格」といった広告が溢れている。 しかし、その多くが 実質的には定期購入契約(サブスク)を前提とした販売方式であり、消費者が気づかないまま継続課金に巻き込まれるトラブルが後を絶たない。
消費者庁はこうした手法を 「詐欺的な定期購入商法」 と呼び、2022年の特定商取引法改正で規制を強化した。
2.なぜトラブルが起きるのか-典型的な誘導パターン
➀初回価格だけを強調し、定期購入の実態を隠す
「初回99円」「初回無料」と大きく表示し、2回目以降の価格や最低購入回数は極小文字・スクロール下部に配置する。 消費者庁が最も問題視する違反パターンである。
➁解約条件を分かりにくくする
・解約フォームが深い階層にある
・電話のみ受付で繋がらない
・チャットbotで引き延ばす こうした「解約妨害」は、2025年度の行政処分でも複数確認されている。
③自動更新の不告知
「次回発送の◯日前までに連絡が必要」といった条件を申込時に示さないケース。 これも違反として処分対象となる。
3.2022年改正特商法が導入した“強力な武器”
改正特商法は、定期購入トラブルに対して 2つの大きな規制を導入した。
① 最終確認画面での「6項目表示義務」
申込みボタン直前の画面に、以下の6項目を明確に表示しなければならない。 (フォント・色・大きさも初回価格と同等レベルが求められる)
1.分量・定期回数(定期購入である旨、回数縛り)
2.初回・2回目以降の価格・送料
3.支払時期・方法
4.引渡時期(初回発送・定期便の周期)
5.解約条件・方法・期限
6.申込期間(キャンペーン等がある場合)
② 誤認した場合の「取消権」
事業者が誤認させる表示を行い、消費者が誤って申込んだ場合、 消費者は申込みを取り消すことができる。 通信販売に取消権が導入されたのは初めてである。
4.消費者が身を守るために
➀初回価格だけで判断しない
「初回○円」の裏に、2回目以降の価格・回数縛りが必ず存在する。
➁最終確認画面を必ずスクロールして確認
特商法は最終確認画面の表示を義務化している。 ここに 定期購入の核心情報 がすべて載っている。
③解約条件は必ず事前にチェック
・解約可能時期
・次回発送の締切
・解約方法(電話のみ等は要注意)
④誤認した場合は「取消権」を使う
誤認表示があった場合、申込みを取り消すことができる。
まとめ
定期購入商法は、ECの成長とともに進化した“新しい形の消費者トラブル”である。 2022年改正特商法は強力な規制を導入したが、事業者の工夫による“隠し方”も巧妙化している。 2026年以降はダークパターン規制が本格化し、 「誤認させない」「解約しやすい」透明な取引設計 が企業の必須要件となる。
消費者は「初回○円」の誘惑に惑わされず、 事業者は誠実な情報開示を徹底すること。 それが、健全なサブスク市場を育てる唯一の道である。
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