column コラム

2026.08.28

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合理的根拠資料要請権を「過量販売」にも拡大すべき理由       -“契約前の異常”を見逃さない制度へ-

1.過量販売の本質は「契約前の積み重ね」にあります

特定商取引法・消費者契約法の過量販売規制は、いずれも契約成立後にしか発動しません。 しかし、実際の過量販売は次のような“契約前の異常”が連続して起きます。

・同一事業者による頻繁な訪問・電話

・在庫が残っているのに追加購入を執拗に勧誘

・高齢者の不安をあおる説明

・生活状況と明らかに不整合な量の提案

つまり、被害は契約前に既に始まっているのです。 それでも行政は「契約が成立するまで」何もできません。

2.「合理的根拠資料要請権」とは何か

2022年改正特商法で導入された制度で、広告の効果・性能に合理的根拠があるか、行政が資料提出を求められる権限です。

・科学的根拠のない広告を事前に排除

・行政が“契約前”に介入できる

・事業者に説明責任を課すことで抑止力を発揮

この仕組みは、不当表示の芽を早期に摘むための事前規制として機能しています。

3.なぜ「過量販売」にも拡大すべきなのか

過量販売の問題点は、“通常必要量を著しく超える販売に合理的理由がない”という点に尽きます。

しかし現行法では、行政は次のような疑問を契約前に確認する手段がありません。

・なぜ一人暮らしに寝具を3セット勧めたのか

・なぜ高齢者に健康食品を年間20個売る必要があるのか

・なぜ在庫が残っているのに追加購入を促したのか

資料要請権が過量販売にも適用されれば、行政は販売量の合理性について事業者に説明を求めることができます。

これは、過量販売の“芽”の段階で行政が介入できる という点で極めて大きな意味を持ちます。

4.拡大によって期待される効果

・事前抑止の強化、事業者は「合理的理由を説明できない販売」を避けるようになり、高齢者被害の減少が期待されます。

・加盟店管理の高度化、クレジット会社は、異常な販売量を早期に把握し、指導しやすくなります。

・行政処分の迅速化、資料提出を求めても合理的説明ができない場合、行政は早期に指導・処分へ移行できます。

・不当勧誘の可視化、勧誘記録・販売履歴・顧客属性との整合性など、過量販売の構造的問題が明らかになります。

5.課題と論点

もちろん制度拡大には検討すべき点もあります。

・「通常必要量」の基準設定

・正当なまとめ買いとの線引き

・事業者の事務負担

・行政の審査体制の強化

しかし、これらは制度設計で十分に調整可能です。むしろ、契約後でしか動けない現行制度こそが最大の課題です。

6.まとめ

合理的根拠資料要請権を過量販売にも拡大することは、消費者保護の実効性を飛躍的に高める制度改革です。

・過量販売は契約前から兆候が現れる

・現行法は契約後でしか動けない

・資料要請権があれば事前抑止が可能

・高齢者被害の大幅減少が期待できる

“合理的理由のない大量販売を許さない”という明確なメッセージを制度として示すことが必要です。

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